続いての話題は関東の11社局の鉄道がクレカタッチ乗車の相互利用を行うというニュースです。筆者が楽しみにしているところなので、こちらについても考えてみました。
発表内容の要点
発表日：2025年10月29日
発表者：小田急電鉄、小田急箱根、京王電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東急電鉄、東京地下鉄、東京都交通局、東武鉄道、横浜高速鉄道の鉄道事業者11社局
三井住友カード、ジェーシービーのクレジットカード会社2社
オムロンソーシアルソリューションズ、QUADRACのシステム関連サービス会社2社
要点：関東の鉄道事業者 11 社局の路線を対象とした、クレジットカード等のタッチ決済による後払い乗車サービスの相互利用に向けた検討を開始する
共同事業協定を締結し、2026 年春以降の開始を目指す
↓発表時の資料より
相互利用のメリット、クレカタッチ乗車の元々のメリット
クレカタッチ乗車は関西から広がってきたイメージが強いですが、関東の鉄道事業者でも各社判断で各社路線内でのタッチ乗車が少しずつ可能になってきていました。
そんな中で一気に11鉄道事業者の路線間（一部対象外区間あり）で相互に利用できるようになるという内容でした。乗り入れ・乗り換え時に一旦改札外に出なくてよくなります。
元々クレカタッチ乗車はクレジットカードのほかにデビット、プリペイドの対象カードも利用可能で、SuicaやPasmo（いわゆる交通系ICカード）を利用する必要がないことが特徴です。
後払いとなることもアピールされていますが、プリペイドカードやデビットカードはSuicaやPasmoに近いかもしれません。プリペイドカード以外は事前チャージが不要なことがメリットとなります。
一般のクレジットカード決済のツールを使っているため設置コストが低いことや、海外からの旅行客なども自分のカードでそのまま利用できることなどは今後の普及が見込めるポイントです。
気になる事項
①不参加の事業者があることによる不便
現時点の発表では大どころの京成電鉄と横浜市営地下鉄が参加していません。その他にも新都市交通システム、モノレール等は参加を表明していないところが多くあります。コスト負担の問題等もあると思われます。
JRも参加していませんが、こちらはSuicaを発展させてゆく方向と考えられます。
一部不参加の事業者があることで、使い勝手としては直通運転のときには利用不可になるものと思われますが、事業者が代わる駅で乗り換えがあれば一旦改札を出ることで解決可能です。現在もJRを含めた他社線との乗り換えで行なっていることと同じです。
②PITAPAと何が違う？
筆者は以前より関西で実用化されているクレカ払いのPITAPAをうらやましく思っていました。基本的には手数料なしなのですが、1年間利用がないと手数料が発生するというルールがあるようで、利用する機会が限られる筆者は持つ決断ができませんでした。
クレカタッチ乗車と似たような機能ですが、PITAPAはクレカ専用の読取り機ではなく交通系ICカードの読取り機を利用しているように思われます。全国で普及し始めたクレカタッチ乗車の仕組みは交通系ICカードのシステムの縛りを受けたくなかったのかも知れません。
今後の展望と期待
筆者は設定や電波や充電を気にせず利用できる物理カードでなるべく物事を済ませたいと考えています。またあらかじめチャージが必要な電子マネーやプリペイドカードに残高が残ることを避けたいと思っています。なのでクレカによる後払いで鉄道を利用できて、多数の事業者路線間で相互利用ができる今回の発表は大歓迎です。
（なおクレカタッチ乗車はスマホでも可能ですが、どのカードを使うのか事前設定を常に気にする必要がありそうな気がします。）
一方現状ではクレカタッチ乗車はまだ発展途上、先日も20台規模の自動改札機が横並びする大規模ターミナル駅で降車の際に人波の中でクレカ対応改札機が見つけられず、柱の陰に隠れて大半の人が改札を通過し終えるのを待ってから外に出るという経験をしました。早く主流になってどこでも通れるようになってほしいものです。
もう一点、クレカをどれくらいの時間読み取り機に当てればよいかも悩みます。交通系ICカードよりはやはり多少反応時間が長くかかる気がします。後ろの人をイライラさせなくてよいようにしなければなりませんね。
いくつか改善を希望する点はあるものの、筆者としてはクレカタッチ乗車が大いに普及・発展してゆくことを期待しています。
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